証券会社って女性でも働きやすいのかな?子育てとの両立はできるのかな
女性が社会に出て活躍するのが当たり前になってきている時代ですが、結婚や出産によって以前と同じ働き方をするのは難しくなってしまうことも多々ありますよね。
私は新卒で大手証券会社に10年以上勤めていましたが、産休・育休を取った後に退職してフリーランスになりました
在宅ワークや時短勤務などを使って柔軟な働き方ができる等、「子育て中の女性でも働きやすい」と謳っている企業が増えてきています。銀行や証券などの金融機関で働く女性も多いですが、女性が結婚・出産しても働きやすいと言えるのでしょうか。
就職・転職サイトを見ても、「当社は女性でも働きやすい」「子育て中の女性にも配慮している」と言うばかりで、実態はどうなのかは分かりませんよね。
そこで今回は、実際に大手証券に長年務めていた筆者が、証券会社の仕事内容の実態と、出産後働き続けることの難しさについて、独断と偏見を交えながら公開したいと思います。
証券会社の仕事内容や、出産後も働き続けるメリットやデメリットを知った上で、今後の働き方を見直してみることをおすすめします。
証券会社の女性の仕事内容
筆者は大手証券会社の支店で勤務していました。本社部門の仕事内容はまた別ですが、専門職採用でない限り、支店配属されるケースがほとんどだと思います。
都市圏の支店で勤務していた私の経験をもとに、大手証券会社の仕事内容を公開します!
3年前に退職していますので、2019年時点ぐらいの情報になります。コロナ禍を経て、現在は仕事内容が変わっている可能性もあります
窓口対応
支店勤務は主に総務部門・営業部門・窓口部門に分かれています。このうち私は窓口部門に属していましたので、来店するお客さんの対応をしていました。
どんなお客さんが来るのかと言うと、事務手続き・資産運用相談・単なる質問や雑談などです。
事務手続きでは口座開設やNISAの申し込み手続きなどがあります。ネットや郵送でできるのでわざわざ来店する人は少なくなっています。
会社としては最も来てほしいのが資産運用の相談ですが、実際は資産運用の相談に来るお客さんはほとんどいませんでした。
いちばん多いのが、お年寄りが謎の雑談をして帰って行ったり、ネット証券の使い方が分からない、スマホの使い方を教えてくれなど…
そんなわけで証券の窓口業務はこれから確実に必要なくなる仕事です。実際に、私が産休に入った後に働いていた支店は統廃合でなくなりました。
電話営業
私の務めていた会社は昔ながらの電話営業の手法を続けており、お客さんの来店がない時間はとにかく電話をかけまくることを推奨されていました。
会社の目的としては、電話で主に高齢者の方にできるだけ手数料の高い金融商品を買ってもらうこと、これに尽きます。
私は営業部門ではなかったので、個人の営業ノルマはないはずなのですが、電話を何件かけたか、そして電話営業で何件契約が取れたかを常にカウントされていました。
当たり前ですが、特殊詐欺など怪しい電話が多い今の世の中、わざわざ電話に出て見ず知らずの人から投資商品を買ってくれる人などそうそういません。たまに話を聞いてくれる人といえば暇を持て余しているお年寄りくらい。
営業マンと違って固定のお客様がいるわけでもないので、毎日出ない電話を鳴らしまくったり、留守電に入力して電話営業してますアピールをしながら無意味な時間を過ごしていました。
とにかく電話をかけてないとサボってると思われるので、この時間は苦痛でした
会議や勉強会
私が働いていた支店の窓口は15時半で閉まるので、それ以降の時間は窓口業務を片付けたり例の営業電話をかけまくる時間ですが、16時くらいから会議やミーティングが開催されることが多かったです。
月初会、週初会では、支店の社員全員がホールに集められ、部署ごとに月次の報告をしたり来月の目標を掲げたりします。
また、営業成績が不振な月は戦略会議が開かれたりしますが、実際は営業成績が悪い社員を問い詰めるだけで、全く意義のないものでした。
女性が証券会社で働くメリット
給料面での待遇
大手証券会社は、給料面では比較的安定していて、他の業種と比べても悪くありません。
ボーナスは株式相場や景気に左右されますが、良いときは新人であってもボーナスの額はかなり良かったことを覚えています。
必要以上に浪費しなければ、数年働けばしっかりと貯金ができるはずです。
はじめからしっかりお金を貯めて、さっさと辞めればよかったなぁ〜
大手ならではの福利厚生
大手の金融機関は福利厚生も充実しています。私が働いていた頃の福利厚生は、
など色々ありましたが、今ではこれらの福利厚生のほとんどは無くなったり縮小されたりしているようです。
休日
銀行などの金融機関と同じく、証券会社も土日祝がお休みになる業種です。
休日に相談会やセミナーを行なっていることもありますが、基本的には株式市場の開いている平日昼間が営業時間になっています。
土日祝がお休みだと、プライベートの予定も立てやすいですよね。
ただし、営業マンはお客さんの都合で土日に訪問したり、上司にゴルフや接待に付き合わされたりすることも多いようです。
また、私が働いていた会社では、年に2回の長期休暇を取ることができました。前後の土日を合わせると連続9連休になるので、休みのたびに海外旅行に行ったりもしていました。
金融に関する知識が付く
金融機関で働くためには、金融関連の資格取得からは逃れられません。
証券会社で営業や窓口を担当するためには、まずは証券外務員の資格が必要です。入社してすぐの頃はこの資格合格のためにひたすら勉強することになります。
働き始めて2年ほどすると、今度はファイナンシャル・プランナーの資格を取得させられました。
働くために必要な資格なので、受験料やテキスト代は会社負担です。どちらの資格もそこまで難しくはなく、2〜3ヶ月くらいきっちり勉強すればほぼ合格できます。
証券外務員資格では証券全般に関する知識が身につきますし、ファイナンシャル・プランナーは税金や不動産に関する知識も学べるので、実生活に役立つことも。
証券会社の社員はどの株を買えば儲かるかも分かるの?
それはNO!証券営業マンは営業のプロであって運用のプロではないよ。
確実に儲かる方法はないってこと
大手証券会社の体質と働くデメリット
営業成績・ノルマ至上主義
証券会社は、営業成績至上主義です。まさに数字が全て。営業目標が達成できないなんてありえない、達成できるならば多少グレーな取引や強引な取引も構わない、という雰囲気がありました。
営業マンは常にノルマに追われているし、窓口の私たちにもチームノルマがありました
残業が多い
とにかく残業する方が偉い、会社に長くいる人が頑張っているという企業文化がありました。
「業務終了後にすぐに帰っている」という謎の理由で怒られたこともあります
月末になって支店ごとの営業ノルマが達成できていないとなると、支店全員で残業して営業電話です。
窓口部門の私たちもそれに合わせて残業を強いられます。窓口もとっくに閉まっているので、あてもなく誰も出ない電話をかけ続けたり、パソコンに向かって何かを頑張っているふりをしながら長い残業時間を過ごしていました。
将来性に疑問
私は働きながら常々この大手証券会社の将来性に疑問を持っていました。
対面の大手証券会社の売買手数料はかなり高く、若い人は絶対に手数料の安いネット証券を使いますし、実際来店されるお客様のほとんどは80歳以上の超高齢の方ばかりでした。
窓口で仕事をしていても、お客様に資産運用の相談をされるといったことはほとんどなく、事務手続きもネット証券ならアプリのボタン一つでできるのにな…というようなことばかり。
実際に私の働いていた支店は統廃合でなくなりましたし、今後も対面の証券会社の必要性はどんどん無くなっていくと思われます。
自身の投資が規制される
数年前まで、証券業協会では地場受け・地場出しの禁止という規制がありました。
地場受け・地場出しってどういうこと?
地場受け:証券会社が他の証券会社の役職員から株などの注文を受ける
地場出し:証券会社の役職員が他の証券会社に株などの注文を出す
これが禁止されていたよ
この規制は2017年8月に廃止されましたが、それでも一般の人と同じように自由に売買できるわけではなく、社内規制で会社への報告や承認を求められることが多いようです。
自分の資産形成のために投資をしたいのに、いちいち会社への報告などしたくありませんよね…。そのため、お客様に投資を勧める立場でありながら、自らは投資をほとんどできないという立場に立たされます。
株の取引などは会社への報告や承認が必要でしたが、投資信託はOKとされていました。
ちなみに、当時私はどうしても会社に報告せずに投資をしたかったので、仮想通貨投資を始めました。(ビットコインなどの仮想通過は証券業協会による規制がなかったので。但し、社内規制がある場合もあるので確認してくださいね)
証券会社の社員でも、コインチェックなどの仮想通貨取引所で口座を開設して売買できます
証券会社に向いている人・向いていない人
競争が好きな人
大手の証券会社はとにかく競争至上主義です。
営業部門であれば当然個人ノルマがありますし、窓口部門でも何かと近隣の他支店と競い合ったり、常に棒グラフやランキングが貼り出されている状態。
営業成績さえ良ければ上司から賞賛されますし、社内での居心地も良くなります。
「人と競い合った方が燃える!」という方や、「営業成績を上げて社内で出世したい!」という方には向いている仕事だと思います。
子育てを手伝ってくれる人がいる
「子育てと両立できるか」という観点でみると、証券会社は残業が多くなりがちなので、平日に仕事をしながら1人で家事育児をこなすのは難しいです。
そのため、たとえば夫や近くに住んでいる親が子供の送り迎えや家事をしてくれるとか、そういった状況であれば証券会社で働きながら子育てをすることは可能だと思います。
電話営業が苦痛な人
営業部門であれ、窓口部門であれ、「とにかく営業電話を掛けまくれ!」という文化でしたので、苦手な人にとってはかなりの苦行です。
特に窓口のお客様が少ない日には、ほぼ丸一日電話を掛けまくって過ごすことになります。これが苦痛な人はやめておいた方が無難です。
営業電話は本当に苦痛でした…その時間で子供と一緒に過ごしたいよね
ワンオペ育児の人
旦那さんのお仕事が忙しく、平日1人で子供の送り迎えや家事をこなさなければならない人は証券会社で働くのは大変だと思います。
子供が小さいうちは時短勤務を選択することもできますが、残業が推奨される文化でしたので、「早く帰る」ことに対して周りからかなり厳しい目で見られます。
上司から「営業数字ができていないのに帰るの?」的なことを言われて結局残業せざるを得ないことも…
特に支店の営業数字が悪い月末はいつ帰れるかも分かりません。子供のお迎えなどはタイムリミットがありますので、旦那さんや親などが家事育児を担ってくれる人がいない限り働き続けるのは大変です。
自身の投資をしたい人
上記の証券会社で働くデメリットの所でも書きましたが、証券会社で働いている限り、自身が投資をしようとする上で様々な規制を受ける可能性があります。
証券会社に勤務していても株取引などができないわけではないのですが、
- 証券会社勤務ということで口座開設を断られることがある
- 社内規制で取引内容の報告が義務付けられることがある
- 社内規制で短期売買が禁止されることがある
- 先物やオプション取引など、証券業協会で証券会社社員による禁止されている取引もある
など、証券会社の社員は自由に投資ができません。規制や社内報告などが面倒でほとんど投資をしていないという人も多いのです。
だけど自分の資産を築いていく上で投資は必須。「将来の資産形成のために色々な投資をしてみたい!」という人にとっては、証券会社で働くことは大きなデメリットになります。
まとめ:子育てしながら証券会社で働くのは大変
子育てしながら証券会社で働くのは、競争やノルマが精神的負担にならない人、夫や親など他に子育てを担ってくれる人がいる人にはおすすめです。
しかし、平日ワンオペ育児で残業ができない、競争やノルマが精神的苦痛という人には難しいと思います。
私は出産・育休を経て退職し、フリーランスに転向しました。現在証券会社で働いている女性は、妊娠出産を機に働き方を見直してみるのも一つの方法だと思います。
フリーランスは働く時間や仕事量を自分で調整できるので、子育て中にはピッタリの働き方だと思います
「フリーで働けるようなスキルがない…」「他にできそうな仕事がない…」という方は、クラウドワークス やランサーズ などのクラウドソーシングサイトで初心者でもできる在宅ワークを探してみることから始めてみるのもおすすめです。
筆者も育休中にクラウドワークスを利用し、会社を辞めて働き方を変えようとを目論んでいました…
妊娠・出産は自分の働き方を考え直す大きなきっかけになります。できれば、仕事も子供との時間も両方大切にしたいですよね。
転職する人も今の仕事を続ける人も、後悔のない選択ができると良いですね。
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