主婦が仮想通貨で100万以上の利益を出したら扶養から外れるの?体験談を紹介

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会社員の夫の扶養に入っている主婦が仮想通貨売買で利益を出したら?

主婦の扶養と仮想通貨

仮想通貨の売却で一定以上の利益を出した場合、その利益は雑所得に該当し、確定申告で税金を支払う必要がありますが、会社員である配偶者の扶養に入っている方は「そういえば扶養はどうなるのだろう?」と疑問を持つ方も多いと思います。

kyuppy
kyuppy

私は数年前にbitflyer(ビットフライヤー)で仮想通貨取引を始め、会社員である夫の扶養に入っている時に仮想通貨を売却して300万円以上の利益を出してしまいました。

そのときに体験したことや知っておいた方が良いこと、実際の計算方法を体験談にまとめましたので、「夫の扶養に入っているけど、仮想通貨で利益を出してしまった!」「扶養に入っているけど、仮想通貨を売って利益を確定したいと思っている」という方のお役に立てればと思います。

また、実際にどれくらい税金がかかったのかを体験談としてご紹介します。

あくまでも我が家のケースなので、令和3年時点でサラリーマンの夫(年収900万以下、30代)の夫に扶養されている妻(30代)が仮想通貨で利益を出した場合の話になっています。

本記事は税金や仮想通貨の専門情報についての記事ではありません。税制、各種制度に関しては本記事に書いている以外の細かい要件がありますし、個人の事情や収入状況によっても結果は異なりますので、あくまでとして個人の体験談として参考にしてください。

※以下、納税者=夫、被扶養者=妻として話を進めます。

まずは社会保険上の扶養と、税制上の扶養の違いを理解する

2通りの扶養

何気なく「扶養に入る」「扶養から外れる」という言葉を使っていましたが、扶養には税制上の扶養社会保険上の扶養という2つの意味があるということを当初は知りませんでした。混同して考えるとややこしくなりますので、この2つを分けて考える必要があります。

「扶養」には2つの意味がある
  • 「税制上の扶養 」に入れば、 サラリーマンである夫の所得税の負担が軽くなる
  • 「社会保険上の扶養 」に入れば、妻が自分で国民健康保険料を負担しなくても良い

税制上の扶養について

妻の所得が一定金額以下であれば、税制上の扶養に入ることができます。これにより夫は配偶者控除または配偶者特別控除を受けられ、所得税の負担が軽減されます。

配偶者控除

会社員である夫の合計所得金額が900万円以下で、かつ妻の合計所得金額が48万以下の場合(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) 夫は38万円の所得控除が受けられます。

配偶者特別控除

妻の所得が48万以上で配偶者控除を受けられない場合でも、合計所得金額が95万円以下の場合、夫は38万円の所得控除が受けられます。(配偶者の所得が95万超〜133万までは、段階的に控除額が下がる)

つまり扶養されている妻が仮想通貨で95万超える利益を出した場合にサラリーマンである夫の税負担が増え始めます。(95万超〜133万までは段階的に控除額が減り税負担が増えますが、133万を超えると控除額が0になるのでそれ以降の税負担は変わりません。)

扶養控除を受けられるかを判断するために、夫の会社の年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に妻の所得見積額を記入する必要があります。

「例年は扶養に入っていて配偶者(特別控除が受けられたが、今年は仮想通貨を売買して95万以上の利益を出した」という場合は、年末調整の際に仮想通貨で利益を出したことが家族にバレてしまいます。

つまり、仮想通貨で95万以上利益を出した場合は家族に内緒にはできないのです!

今回の私のケースでは、95万を超える利益を出したので配偶者特別控除は受けられません。つまり税制上の扶養からは外れることになり、夫の所得税の負担が例年より増えることになりました。

kyuppy
kyuppy

ごめん、実は自分の仮想通貨を売ってしまったから今年は配偶者(特別)控除が受けられないんだ。パパのお給料から引かれる税金が去年より高くなってしまうよ

夫

ええっ、そうなのか〜。どのくらい利益が出たの?

kyuppy
kyuppy

う、うーん、133万くらいかな…(ホントはもっとあるけど…)

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入しておくよ。

実際にどれぐらい所得税の負担が増えるかは、夫の年収や住宅ローン控除など他の控除をどれぐらい利用しているかどうかによって変わってくるそうです。これに関しては細かい計算をしていないのですが、相談した税理士さんによると、最大で10万円くらいは負担が増えることがある、とのことでした。

社会保険上の扶養について

社会保険上の扶養に入れば、妻は夫と同じ社会保険(健康保険・厚生年金)に加入することとなり、自分で国民健康保険料などを納める必要がなくなります。

妻の年収が130万円以上になると被扶養者と認められず、社会保険料を自分で払うことになります。これがいわゆる「130万円の壁」です。

よって、仮想通貨の売買で130万円以上の利益を出すと社会保険上の扶養から外れ、自分で国民健康保険料などを払わなければならない可能性があります。

kyuppy
kyuppy

そういえば、扶養に入っていない時は国民健康保険料を月7千円くらい払っていたなぁ

但し、仮想通貨の利益の場合、定期的な収入ではなく一時的な収入であると判断され、社会保険上の扶養から外れない場合もあります。(加入している健康保険組合の判断による。)

kyuppy
kyuppy

今回の私の場合は結局、仮想通貨の収入が「定期的な収入ではない」と判断されたようで、社会保険上の扶養から外されることはありませんでした!

つまり、私の場合は税制上の扶養からは外れ、社会保険上の扶養からは外れなかった、という結論になりました。

仮想通貨売却の税金はどれぐらい?

税金の計算

そして仮想通貨を売却した本人は実際どれくらい税金を納めることになるのか、実際の体験談をもとに解説していきます。

仮想通貨の売却利益は雑収入に該当

学生や主婦など扶養されいる方は43万円以上の利益が出た場合に確定申告と納税が必要になります。

仮想通貨の売却益は雑収入に該当し、給与所得や事業所得など他の所得と合算して税率が決まります。

仮想通貨の税金の計算方法

では、実際に仮想通貨の税金をどうやって計算するのか、実際の自分の確定申告資料を元にシュミレーションしてみます。(令和3年分)

今回は仮想通貨売買の利益300万、パート収入が98万円の主婦の場合を想定してみます。(その他に収入や純損失または雑損失等の繰越控除はないものとします)

①仮想通貨売買による利益を計算

まずは1年間の仮想通貨による利益を算出します。

カピさん
カピさん

1年間の利益?自分で正確に計算するのは難しいよ

kyuppy
kyuppy

Cryptact(クリプタクト)などの投資支援プラットフォームを使うといいよ

私はbitFlyer(ビットフライヤー)を利用して仮想通貨売買をしていました。bitFlyerでは取引履歴を確認することができますが、Cryptact(クリプタクト)などの投資支援プラットフォームを使ってビットフライヤーと連携すると、自動で年間の損益計算をすることができます。

ここでは仮に

仮想通貨による利益→300万円

とします。

②他の所得と合算して合計所得金額を求める

他に事業所得、給与所得などがある場合はここで合算して合計所得金額を求めます。

ここでいう所得とは、収入金額から経費を差し引いた金額のことをいいます。給与所得の場合は、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額になります。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
162.5万円まで550,000円
162.5万円を超え180万円まで収入金額×40%-100,000円
180万円を超え360万円まで収入金額×30%+80,000円
360万円を超え660万円まで収入金額×20%+440,000円
660万円を超え850万円まで収入金額×10%+1,100,000円
850万円超1,950,000円(上限)
参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」

合計所得金額:仮想通貨による利益 300万円+(パートの給料 98万円ー 給与所得控除 55万円)=343万円

③各種所得控除を差し引く

次に合計所得金額から所得控除を差し引いて課税所得金額を求めます。

所得控除は、生命保険料控除、医療費控除、寄付金控除、配偶者控除など全部で14 種類あります。そのうち基礎控除は本人所得が2,500万円以下であれば誰でも48万円の控除を受けることができます。

ここでは、基礎控除以外に受けられる所得控除が特にないものとします。

課税所得金額:合計所得金額 343万円ー基礎控除 48万円=295万円

④所得税率を掛ける

次に、課税所得金額に税率を掛けて控除額を差し引き、所得税額を求めます。

所得税額:課税所得金額 295万円×10%ー97,500円=197,500円

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率

⑤復興特別所得税額をプラス

所得税額に対して2.1%の復興特別所得税がかかります。

復興特別所得税:所得税額197,500円×2.1%=4,147円

所得税及び復興特別所得税の額:所得税額197,500円+復興特別所得税4,147円=201,647円

納めるべき所得税(所得税及び復興特別所得税の額)は201,647円となりました。

⑥住民税は均等割+所得割10%

仮想通貨で利益が発生した際に払うのは所得税だけではありません。確定申告を済ませて所得税を納めると、翌年6月に住民税の通知書が来ます。

住民税は均等割+10%の所得割で計算されます。(都道府県や市町村によって異なる)。ここでは大阪市の場合を例にとって計算します。

均等割は、都道府県・区市町村によって定額で金額が決まっています。

住民税均等割 5,300円 (市民税3,500円・府民税1,800円)大阪市の場合

住民税所得割は、所得税と同様に合計所得金額から各種控除を差引き、住民税率を掛けて計算します。住民税率は、都道府県民税と区市町村民税あわせて10%です。ここでは大阪市の場合(市民税8% 府民税2%)として計算します。

住民税にも生命保険料控除、医療費控除、寄付金控除、配偶者控除などの各種所得控除がありますが、ここでは基礎控除(43万円)以外に特に控除すべき金額がないものとします。

また実際には算出された市民税に対して2,000円、府民税に対して500円の税額控除(調整控除)がありましたのでこれも考慮しておきます。(合計課税所得金額が200万円超の場合)。調整控除に関して詳しい計算方法は割愛します。

課税所得金額:総所得金額(ここでは合計所得金額と同じ)343万円ー基礎控除(43万円)=300万円

市民税:課税所得金額300万円×8%ー調整控除2,000円=238,000円

府民税:課税所得金額300万円×2%ー500円(調整控除)円=59,500円

住民税所得割:238,000円+59,500円=297,500円

住民税:5,300円(均等割)+297,500円(所得割)=302,800円

実際は都道府県・区市町村によって異なります。

⑦所得税と住民税を合わせた合計税額

合計税額:201,647円(所得税額)+30,2800円(住民税額)=504,447円

カピさん
カピさん

こんなに税金がかかるんだ

パート収入98万円の主婦が仮想通貨で300万円の利益を出した場合に払う税金は、合計で50万円程度になりました。

仮想通貨売却の税負担を少しでも抑える方法は?

節税

今回は「仮想通貨で300万円を稼いだ場合」について解説してきましたが、仮想通貨による利益は総合課税なので累進課税により稼げば稼ぐほど高くなり、最大で55%にもなります。

株式やFXなどは、他の所得とは分離して計算する「申告分離課税」で一律20%なのに対して、仮想通貨の利益にかかる税金はだいぶ不利になることが分かります。

主婦でもできる、少しでも仮想通貨の税負担を少しでも抑える方法を考えてみました。

①各種所得控除を利用する

仮想通貨の税金の計算方法③各種所得控除を計上するのところで、基礎控除以外にも使える控除を見落としていないか確認してみましょう。

医療費や公共交通機関を利用した通院交通費、薬局などで購入したセルフメディケーション制度対象の薬などで自分で支払っているものがあれば医療費控除が使えるかどうか確認してみましょう。

また、自分で払っている保険料があれば、生命保険料控除や地震保険料控除が使えるかどうかも調べてみましょう。

その他、どうせ税金を払うなら寄附金控除(ふるさと納税)を利用して返礼品を貰うのもひとつの手です。

kyuppy
kyuppy

私は自分で払っている保険料や医療費がなかったのでこれらの控除は使えませんでした…

ふるさと納税は利用しておけばよかったなぁと思います

②副業の事業経費をきっちりと計上する

上記の計算では、パート収入がある主婦の場合を想定してみましたが、パートの場合は給与収入になりますので自分で経費計上ができず、課税所得をコントロールすることができません。

それに対して、副業など何らかの事業を行なっている人であれば、事業のために使用した経費を自分で計上することができます。副業や事業のために使った経費は余すところなく計上して、利益から差引くことで課税所得を減らせます。

事業のために使った経費を計上した結果、事業収入がマイナスになった場合でも、仮想通貨の雑所得と損益通算することができます。

kyuppy
kyuppy

私の場合はフリーランスなので、本業のスキルアップのために使った研修費や書籍代など、細かいところまできっちりと計上しました!

なお、確定申告初心者の方も、会計ソフトfreeマネーフォワードクラウド確定申告 などの無料で利用できるクラウド会計ソフトを使うと、比較的簡単に確定申告書を作成できます。

まとめ:仮想通貨で95万を超える利益を出すと扶養者の税負担が増える

配偶者の税負担

配偶者の扶養に入っているけど、仮想通貨で年間95万円を超える利益を出してしまった、という方は、配偶者(特別)控除が受けられないので配偶者の税負担が増える、ということに注意してください。

これから仮想通貨を売ろうと思っている方で、「配偶者の税負担が増えるのは困る」という方は、利益が年間で95万円を超えないように調整して売却するのも良いかと思います。

また、仮想通貨にかかる税金は利益が多いほど負担が多くなります。今まで確定申告に縁のなかった方でも、仮想通貨を売った場合に税金がどれくらいかかるのかを考えておく必要があります。

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